
2025 アン・ユンス
容疑をかけられたあとにも、被害者の顔を固定しない。

| 邦題 | 告白の代価 |
|---|---|
| 原題 | 자백의 대가 |
| 公開/放送 | 2025 |
| 分/話数 | 1話約55分/全12話 |
| 監督/演出 | イ・ジョンヒョ |
| 役 | アン・ユンス |
| ジャンル | 謎、ドラマ |
ドラマ『告白の代価』は、全12話を通したあと、筋の全体より先に画面が残る作品でした。印象に残りにくいのは、失敗というより、謎が先行して、顔が後から追いかけてくる作りに近いです。
このサイトの編集語では「生存」と置いています。生き残るための取引であって、カタルシスのための告白ではない、という意味です。
好きなポイントを一つにまとめられませんでした。残っているのは、次の三つです。次に見るなら、同じ刃を内側へ折る『リボルバー』。同じ演出家の温度差を見るなら『グッドワイフ〜彼女の決断〜』。
構成は、取引の話に見えます。アン・ユンス(美術教師)と、キム・ゴウンのモウン。共闘にも救済にもきれいに収まらない、と鑑賞ガイドに書いた距離は、通したあとでもそのままでした。12話は情報を運ぶ時間が長く、記憶に残るのは場所のほうです。
一つめは、刑務所で壁を通して話す場面です。顔を揃えて話し合うのではなく、隔てたまま言葉だけを渡す。生存の取引が、いちばんむき出しになる位置です。
二つめは、護送車が途中でトラブルに遭う場面です。制度の内側を移動しているつもりが、道の途中で外側に投げ出される。ドラマの中盤は、この種の事故で物語が一度地面に落ちます。
三つめは、クライマックスです。親子で遠方に旅をして、謎解きを終わらせる。答え合わせの会議室ではなく、連れていく/連れていかれる側の話に戻る。12話分の情報より、この終わり方のほうが残っています。母親の物語に還元しない、という本人の考え方とも、ここでだけ重なります。
話数が多いので、週ごとに追うより、通したあとに上記の三場面だけを拾い直す見方のほうが、この棚には合います。
アイキャッチ:象牙色の布。封をした封筒が2つ、クラフトのスケッチブック、木炭、消しゴム、錆びた格子の鉄板、地名のない地図、半券。右に「告白の代価/자백의 대가/2025年/アン・ユンス」。人物はいない。
人物: キム・ゴウン